洗面所の自動センサーが勝手につく謎

森のふもとの夜はとても静かだ。
夜になれば、窓から漏れる光を求めて、窓にアタックしてくる虫さんの音以外は何も聞こえない。高気密住宅のせいもあるかも。

そして、暗い。

曇っている日は目を明けているのか閉じているのか分からないほど暗い。

知り合いのなかには、「よくあんなところに住めるね。怖くない?」っていう人もいる。
確かに引っ越し当初は怖くて、旦那がいない日は実家に車を走らせて、泊まっていた。

ちなみに、私の旦那さんは週に4・5日ほどは仕事で家にいない。
それでも3年目ともなると、一人の夜もすっかり平気になった。

去年の、とある一人の夜。
電気を消して、ベッドで横になり、いつものように眠気が訪れるのを待っていた。

すると、向こうの洗面所の明かりがふっと灯った。

洗面所は人感センサーで自動で点灯する照明だ。
虫さんでも反応するのかな?と思い、気にしないでいたら、10分ほどたってまたついた。

恐る恐る洗面所を覗くも、虫さんらしき姿が見当たらない。

その夜はそれ以降、点灯しなかったので、なにかの誤作動と思い、気にせず眠りについた。

そして1ヶ月後、また同じ現象が起きた。
そこでちょっと頭をよぎった。

「あれ、もしかしてこれ、誰か(なにか)いるんじゃない?」

一気に話が変わってくる。
もうひとりでこの家では夜を明かせない。
移動願います。ここではないどこかへご移動お願いします。速やかに。

あれから1年経って、昨日。
丑三つ時に洗面所から漏れる灯り。

久々にあの方が帰ってきた。
あぁ、おかえり。歓迎しんけども。

意を決して洗面所のドアを開けて覗いてみる。
もちろん誰もいない。
いや、いてもらっちゃ困るけども。

そして、ふと視線を落としてあることに気がついた。

「これに反応してるってことないか?」

友人から買った腹巻きだ。
そういえば、去年の無人点灯の頃によく使っていた腹巻きだ。

昨日1年ぶりに引っ張り出してきて、洗濯機の上に置いていたのだ。

その友人が「何かしらの未知のエネルギーが織り込まれた糸で作った腹巻きで、すごく調子がよくなる」って激推しされたものだ。
腹巻きのわりには値段が張るし、スピってない私には興味はなかったが、まぁ、お世話になっているし面白そうだから買ってみた。

使用感は、伸縮性のある腹巻きで、まぁ、高級そうな手触りはしている。けど、普段腹巻きをしていないので比較のしようがない。
でも温かい。非常に腹を温めてくれる。こ、これが未知のエネルギーかと言われても分からんけども。

そして、この「未知のエネルギー」が、もしかしたら人感センサーを反応させているのではないかと思い立ち、実はすごいパワーを秘めている腹巻きなんじゃないかと俄然興味が湧いてきた。

素材は何でできているのかとタグを見たら綿とシルクだった。
そりゃ、肌触りもいいはずだ。

会社名も書いてあったので、サイトを見てみると、関西の会社で、いいものをお手頃に提供したい!という熱意を持った同士が立ち上げたちゃんとした(?)会社だった。
しかし、どこを探しても、スピの要素が一切ない。

ただ、ひとつ驚いたのが、この腹巻きが1割の価格で販売されていたことだ。
彼は人を騙す人じゃないので、彼が誰かに騙されていたんだろう。

ひどく不憫だ。
一人でも多くの人に届けたいとがんばっている関西のおばちゃんたちの商品を、彼に騙して10倍で売りつけた輩。許せん。

まぁ、でも、この腹巻きは純粋にいいものだってことがわかったし、未知のエネルギーは編み込まれていないこともわかったし、シルクの温かさが分かったのですっきりした。

いやー、すっきりすっきり。

いやいやいやいや、待って。すっきりしてない。
じゃぁ、なんで電気がついたん?ねぇ、なんで。

怖い。

帰って。

お願い、腹巻きのせいって言って。

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