はじめに:光合成細菌とは
今、農業界で注目を集めているバイオスティミュラント資材。
肥料や農薬と違い、植物そのものの気候や病虫害への耐性をつけるための資材として注目されています。
そのなかでも注目されている光合成細菌。
光合成細菌は35億年前から存在する、田んぼやどぶなどにどこにでもいる、嫌気性の菌です。
特徴は、アンモニアや硫化水素など、いわゆるどぶ臭い物質を分解してくれます。
光合成細菌はアミノ酸やビタミンを多く含んでいます。
植物は本来光合成からアミノ酸を生成するため、光合成細菌を施用するとその過程をスキップでき、余ったアミノ酸(=たんぱく質)を生長や味の向上などに回すことができます。
しかし、過信も不信もしないをモットーにしている私が1年かけて検証したところ、その効果は抜群でした!
画像上:対象区(光合成細菌なし)
画像下:試験区(光合成細菌+えひめAI)


そこで今回は私流自宅で簡単に光合成細菌を増やす方法を紹介します。
初心者でも大丈夫です!とっても簡単なので、ぜひ挑戦してみてください。
大まかな作り方の流れ
水道水でOK。カルキ抜きしたものや天然水じゃなくてOK。お水でゆすいで綺麗にしたものを使います。
米ぬかなら小さじ半分~1杯(1リットルボトルの場合)
残りの半分に光合成細菌を入れて混ぜます
大切なのは光と温度です!
培養が始まって最初の5日くらいはガスが発生します。ペットボトルがパンパンになるので、キャップを緩めてガス抜きをしてください。
光合成細菌が底に溜まるので振って撹拌してください。
色が真っ赤になったら完成の目安です
では、菌やエサの入手先や培養の勘所など、それぞれ詳しくご紹介しますね!
おススメの光合成細菌(タネ菌)
インターネットで検索すれば、いろんなお店が見つかります。おススメのお店をいくつか紹介しますね。
くまレッドさん

イーエムテックフクダさん
翠水さん
おススメの培地(エサ)
細菌を増やすためのエサのことを培地といいます。
色々使ったなかで、おすすめを3つ紹介しますね!
米ぬか
おすすめは米ぬかです!
いろいろ試した結果、温度や光が確保できる場合、培養成功率が一番高かったです。
使う量は培養液の0.1%で十分です!1リットルのペットボトルでしたら小さじ半分で十分です。
田舎では精米所で無料でいただけるので、とてもサスティナブルな資材ですね。
くまレッドのエサ焼酎粕
くまレッドさんの焼酎粕は、熊本県名産の焼酎造りで出た焼酎粕を利用したサスティナブルなエサです。

キャラクターのくまさんも可愛くてお気に入りです。
翠水 ふやしてPSB

ペットボトルにプッシュするだけでとても簡単です。
気軽に作るにはもってこいです。
(ちなみに翠水さんに光合成細菌とエサのセットもありますよ!)
培地に使うお水について
水道の塩素くらいでは光合成細菌は負けないので、水道水で大丈夫です。
気になる方は、カルキ抜きしたお水やミネラルウォーターなどの利用をお勧めします。
培養に使う容器について
はじめはペットボトルで作るのが一番簡単です。
撹拌がしやすく場所をとらないためです。
慣れてきたらキュービテナーなど大きな容器で挑戦してみてください!
以前欲張って20リットルの容器で培養したら、撹拌や上げ下ろしで腰をやられたのでオススメしません。笑

20リットルは厳しい。10リットルぐらいがいいかも。(それでも重いよ)

光と温度を管理する
細菌が増えるように、適切な光と温度を保ちます。
菌の培養の肝は狙った菌を爆発的に増やすことです。
実験室ではないため必ずコンタミはしているのでのんびりやっていると別の菌が増殖して失敗してしまうこともあります。
なので、適切な培養条件を揃えたうえで培養をスタートするのが成功の秘訣です。
私が心がけている2つのこと
- 晴れ予報の日の朝に培養開始する(光の確保)
- 寒すぎず暑すぎない時期を選ぶ(適温の確保)
培養のブースターとして、光の強さは温度より重要です。以下は光がいかに重要かを実験した結果です。

同じ培地・光合成細菌で場所だけ変えて1週間培養した結果です。
左から
- エアコン直下ライトなし(28度)
- 室外南側(5度)
- 室内窓辺南側(22度)
光>温度の順で大切なことが分かりますね。
しっかり光を当てて、別の菌が増殖する前に爆発的に光合成細菌を増やすことが大切です。
多少培養の速度は違えど、温度はよっぽど寒かったり暑かったりしなければ問題ないと考えています。夏場に光にガンガンに当てたものは軒並み失敗したので、高すぎには注意が必要です。
逆に平均気温5度という寒い環境でも光さえ当てていれば増えていることが見て取れます。
光合成細菌が濃い赤い色なので、太陽の光で熱せられて温度が上がります。外気温に依らず太陽光で中身が温まるのかもしれませんね。

立てるより寝かせたほうが光が当たる面積が広いですよ!
天候不良などで、光の確保が難しい場合は、室内でライトを当てると確実に培養でるので、こちらもおすすめです。

1日一回撹拌、ガス抜きをする
光合成細菌は嫌気性細菌なので、キャプは閉めて培養します。
培養開始1週間ほどはガスが出てペットボトルがパンパンになるので、1日1回は観察してガス抜きをしましょう。キャップを緩めてプシュっとするだけです。
また、光合成細菌やエサが底に沈殿するため撹拌も忘れずに。
容器に満タンに入れて培養すると、ガス抜きをする際に光合成細菌がこぼれてしまうため、少し余裕を持たせるといいですよ!
部屋でこぼれると大惨事だよ!
実際に使ってみよう
培養できたら、農業や園芸で使ってみましょう!
潅水:250倍~1000倍に希釈して潅水・葉面散布しましょう。少しの量で効果があります。
以前欲張って50倍に希釈して葉面散布したら、虫さんの好きな香りだったらしく朝顔さんの葉っぱが食べられました。笑
以下は朝顔さんの葉っぱに50倍希釈で葉面散布したときの様子です。



見事に葉面散布した場所だけ虫さんが集まってきました。
希釈濃度には要注意です!
また、光合成細菌とえひめAIを併用して潅水すると効果が倍増するという記事も現代農業に載っていたので実践しています。
酵母菌・乳酸菌・納豆菌を培養した自宅で作れる菌液。土中の菌の抑制、生長ホルモンの生成、アミノ酸の生成など農業利用に明るい資材。家庭で簡単に増やせる
植物に対する効果は冒頭の比較画像を参照ください。
チート技・爆速培養方法
ここからは、エビデンスが私の体験のみという、怪しさ満点の培養方法をご紹介します。
方法は培地にえひめAIを加え、水の代わりに温泉水を使うという技です。

わたしは岐阜県にある湯屋温泉という飲泉場で調達しております。
硫黄のほかに、鉄分と二酸化炭素(炭酸)が含まれているので、それも培養のブースターになっているのかもしれません。
これは思い付きでやったことが実際に成功してしまい、現代農業さんに取り上げていただいたほどのチート技なのですが、本当に効果があるので、家にえひめAIがあって硫黄系の温泉が手に入る方はぜひお試しください。

えひめAIを入れるとなぜ爆速になるのかと言いますと、現代農業に「えひめAIに含まれる酵母菌、納豆菌は自身の周りを嫌気状態にするため、嫌気性細菌の光合成細菌と共生できる」とありました。
それだったら酵母菌、納豆菌が含まれるえひめAIを入れたら培養スピードが上がるのでは?と、さっそく試してみました。
光合成細菌はアルカリ性を好むため、酸性のえひめAIは控えめに。10%ほど入れました。
さらに、光合成細菌は硫化水素をエサにして増えると聞いたことがあるので、地元の近くにある硫黄系の温泉で培養したら増えるのでは?と試してみたのが経緯です。
その効果のほどを実際に写真でご覧ください。
まずは温泉水を使ったものとそうでないものの比較結果です。
右から2番目のみ温泉水を使用しました。
左:培養開始
右:培養開始1週間
1つだけ爆発的に光合成細菌が増えたのが分かります。


次にえひめAIを入れたものとそうでないものの比較結果です。
左から2番目と3番目。(えひめAIなし・あり)
右から3番目と2番目も同じく。(えひめAIなし・あり)
上:培養開始時
下:培養開始2週間後
入れたもののほうが、培養が早く進んでいることがわかります。


ということで私流チート技を極める方法は以下の2つです!
- 培地の水を温泉水に変える
- 培地にえひめAIを10%混ぜる
物好きな方はぜひ試してみてください!
家庭で簡単に光合成細菌を増やす方法を紹介しました。とっても簡単で効果抜群なので、ぜひ挑戦してみてくださいね。みなさんの園芸ライフが楽しくなりますように!
参考になる書籍紹介
現代農業2022年9月号
手前味噌ですが、この号の中で、上記の方法を紹介いただいております。
ワテクシメの記事が載っているというフィルターを除いても、いろんな方の培養方法が紹介されていて、面白い号ですよ!

現代農業2022年9月号は田舎の本屋さんで購入できるよ!
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54022005/


農家が教える光合成細菌
光合成細菌についての知識はこの本が一番参考になりました!


ぜひぜひ興味のある方は読まれてみてください。


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