※この記事には虫さんの画像が登場します。
世間のアンチエイジング観
先日YouTubeの動画で「アンチエイジング」について触れているものを視聴した。
若さは正義という人と、歳を重ねることを肯定し受け入れたほうが良いという両者がスタジオに集まり、討論しあう内容だった。
（ちなみに、後者を「プロエイジング」と呼ぶそう）
スタジオでは特に見た目の若さにフォーカスして議論がされており、その中でも33歳の方が20歳に見せている努力には目を見張るものがあった。
日々の無酸素運動、食事制限、サプリメントの摂取、半年に一度の整形手術、日々のお手入れなど、ずぼらの私からしたら聞いただけでめまいのするような暮らしだった。
いつまでも元気な見た目でいるための努力は必須だという意見と、年齢相応の経験と知識が見た目と伴わないのは不自然だなど、面白い討論がされていた。
私のアンチエイジング観
私に一度お会いいただければわかるが、私はアンチエイジングには、とんと無頓着だ。
口紅も結婚式に招待される時だけ買うぐらいで、私の記憶が確かなら、結婚式を除けば、もうかれこれ15年はお化粧はしていない。
テレビ電話をかけてきた親戚のおじさんに、私が出るや否や「おぉ！すまん！」と慌てて電話を切られるほどに、私の見た目は美から遠くかけ離れている。（すまんってなんや）
健康的ではありたいとは思っているが、20代のように、アイアン5本を持って全力でフェアウェイを走り回る体力を取り戻したいとは思わないし、顔にできた老人性イボをレーザーで焼き切ろうとも思わない。
齢45。午前中園芸をして、家事をして、1日の終わりにたわいもないことを家族と話すか日記をかける体力があればいいと思っている。
ただ、もしもこうであったら、全力で年齢に抗いたいことがひとつある。
それは「動植物に好かれる」ことだ。
年齢に抗った私の姿が植物の生育に良かったり、野生動物さんや虫さんたちに好かれて好かれて仕方ない。といったような影響を与えるのであれば、私は全力でアンチエイジングに時間とお金を投資する。
しかし、残念ながら、そのような科学的なエビデンスは世の中には存在しないし、実験しようにも、顔、特に唇にパラフィンを乗せて食事をすることが苦痛ですぐ紙ナプキンで拭き取ってしまうような私は、被験者になれない時点でそれは叶わない。
ただ、「健康＝植物に積極的なお世話ができる＝虫さんが喜ぶ」ことは恐らく間違いないので、見た目はともかく、死ぬ間際まで梅雨前の切り戻しができるぐらいの体力は、年相応を裏切らない程度に保っておいたほうが良さそうだ。
虫さんのアンチエイジング観
そんなことを考えながらオルレアさんの剪定をしていて、キアゲハさんの5齢幼虫と目が合った。
キアゲハさんは卵から孵って4回脱皮を繰り返し、5齢幼虫になると蛹となり、変態し成虫になる。
そこでふと考えた。
「キアゲハさんってアンチエイジングするの？」
答えは明瞭。アンチエイジングはしない。というか、できない。
「成虫になったけど、やっぱり若く見せたいから、5齢幼虫に見えるように努力するわ」なんてできっこない。
蛹から脱皮し、ようやく羽根を手に入れたキアゲハさんは年相応の役目と見た目を受け入れざるを得ない。
せっせと蜜を吸って、花から花へ飛び回り、恋人を見つけて卵を産む。そして短い一生を終える。
見た目と役目がはっきりしている虫さん。
吹き抜ける風に抗うことなく、しなやかに揺れるグラスたち。
森のふもとで動植物さんに囲まれて暮らしていると、不思議と心穏やかになる。
違和感は何も存在しない。
これが文字通りの「自然」なんだと教えてくれる。
そう思うと、人間が歳を重ねることも、きっと本来はこんなふうに穏やかで、しっくりくるものなんだろう。
キアゲハさんが「やっぱり、もう一回幼虫やるわ」なんて言わないように、私たちも今の自分を無理に逆行させる必要なんてないのかもしれない。
グラスのように風に身をまかせ、虫さんのようにその時の姿で一生を全うする。
45歳の顔にシミがあっても、虫さん的にはたぶん関係ないのだ。
追記：エントロピーの法則
Xでこの記事のことを呟いたところ、大切なフォロワーさんのお一人が「エントロピーの法則」をシェアしてくださいました。
人も物も恋愛（一部例外あり）も、不可逆的であるという法則。
最大のアンチエイジングは自分の遺伝子を次世代に残すことという内容がとっても腑に落ちました。
記事に虫さんはアンチエイジングはできないと書きましたが、子孫を残すことに特化して生きていることを考えたら、誰よりもアンチエイジングしているのかもしれませんね。
素敵な学びと発見をありがとうございました🙏
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